| サボテンの花 |
昔、南の大陸の砂漠のまん中にサボテンの国がありました。サボテンの国というのはとげがものをいう世界です。サボテンたちは、毎日、とげの大きさを競いあっていました。そして、とげの大きなサボテンは、小さなサボテンを殺すようになっていったのです。
「このままだと国が滅びてしまう」
それをみていた神様は嘆きました。そして、とげのないサボテンを、サボテンの国に送りだすことにしたのです。
サボテンの国は、変わり者がやってきたと大騒ぎになりました。
「とげのないサボテンの子に近寄ってはいけません」
大人たちは言いました。
「どうして僕だけとげがないの?」
とげのないサボテンの子は思いました。
寒い冬がやってきました。北風に混じってさみしそうな声がきこえてきます。とげのあるサボテンが、とげのないサボテンをいじめているのです。サボテンの子は悲しくなってしまいました。
すると天から声がきこえてきました。
「あなたにはあなたにしかできないことがあるのです。たとえみんなと違っていても」
けれどもサボテンの子にはそれがなんなのか分かりませんでした。
やがて春になり、とげのないサボテンの子に、芽が出ました。するとますますみんなから気味悪がられるようになりました。サボテンの子は、なんとか芽を抜こうとしました。けれども芽は抜けません。それどころかどんどん伸びていきました。そして花が咲きました。サボテンの国には花の咲くサボテンはありせんでした。
「おばけだ〜 おばけの花だ〜」
もう誰もとげのないサボテンの子に近づくものはいなくなりました。サボテンの子の目から涙がこぼれました。
するとそこを旅人が通りかかりました。いい香りがしたのです。みると、鮮やかなサボテンの花が咲いています。
「病気の娘にもみせてあげたい」
旅人はそのサボテンをそっと持って帰りました。
「まぁ、かわいい」
家に着くと病床の娘が久しぶりに笑いました。旅人は娘の枕元にそのサボテンをおきました。不思議なことにその日から娘の病気は少しずつよくなりました。もう治らないといわれていた病気でした。サボテンの噂は瞬く間に街中に広がりました。サボテンの花には人を癒す力がありました。元気になった娘は、サボテンの子を大切にし、サボテンの子はいつまでも幸せに暮らしました。
サボテンの花を求める人々は、今でも跡を絶ちません。
