GAME REVIEW
英雄伝説IV 朱紅い雫

(C)1996 NIHON FALCOM
(C)2000 NIHON FALCOM

妹ゲー
さぁ、ゲーム批評の時間がやってまいりました。今回は全国のおにいちゃんお待ちかねの妹ゲーこと英雄伝説IVです。“妹ゲー"と聞いて“シスタープリンセス"と連想するようではデバッグが必要です。真の漢は英雄伝説IVを連想するものです。いきなりの反則技ですが、開発・販売元のファルコムのHP・キャラクタ紹介のページをを覗いてみましょう。…すばらしい設定です。特に“常に妹アイメルのことを想い続けている"“兄を慕いつづけている"ここら辺が非常に重要なポイントです。実に夢のある設定です。
昨日の夢は今日の希望、明日の現実
“ロケットの父”ロバート・H・ゴダード (1882-1945)

裏切りと歓呼
さて、Windows版英雄伝説IVの全プレイヤの内、何人がDOS版の英雄伝説IVプレイヤだったでしょうね? とりあえず私はその一人です。DOS版はストーリーもすごいですがシステム・バランスもすごいです。 ストーリーについては触れませんが、まずはシステム。メインのシナリオを遙かに凌駕するサブシナリオ(オープンシナリオシステム)。 ちなみにこのサブシナリオはクリアしなくとも全く問題ありません。重大な問題はバランス。 はっきり言ってヤバイです。“鶏を割くに牛刀を用いる事勿れ”“獅子は兎を狩るに全力を尽くす”などと言いますが、DOS版において鶏や兎はいません。相手が獅子です。あまりのバランスの悪さにアンケート葉書まで書いたのを覚えています。ええ、5年も前ですが内容も覚えていますよ。“テストプレイしました?”“まともな同人ゲームを見習いましょう”等々。ん〜、こう書いているとGRADIUS IIIを思い出しますね〜。DOS版がお好きな マゾヒストにはWindows版は裏切りだったでしょう。絶妙なバランスになっていますから。DOS版の時に銘打っていたシステムがことごとく排除されています。その最たるはDOS版で大々的に紹介されていた“オープンシナリオシステム”です。Windows版ではすっかり忘れ去られています。仲間についてもDOS版ではお金を払い雇うといった形でしたが、Windows版ではシナリオの進行で仲間になったり別れたりします。そしてストーリー。DOS版とまったく違うストーリーです。結論としてはなんの変哲もないコンピュータロールプレイングゲームになっている、と言えるでしょう。 最近のファルコムは新作は発表せず、過去の栄光にばかりすがっている、というイメージが強かったですが、 Windows版の英雄伝説IVは新作です。アレンジではありません。

覚悟
DOSの英雄伝説III,IVで新しく試みられた企画はほとんど失敗に終わっている、という気がします。 IIIで取り入れられた高低の概念は数少ない成功例でしょう。DOS版III初回版なんて凄かったですよ〜。 戦闘でマニュアル操作がありませんからね。いかに作戦を設定しておくかが重要なポイントでした。 ただし、あまりの頭の悪さに気分を害するだけで面白みはありませんでしたけどね。最終ボス戦なんてもう… 完全に運でしょう。不必要な魔法を覚えると戦闘が苦しくなるので覚えない、という攻略法もありました。 そんなわけで初回版以降はマニュアル操作が追加されたようです。IIIでの変更点はそのくらいしか思い当たりませんが、IVでは上に書いたような有様です。覚悟が足りませんな。…違うゲームにした段階で十分な覚悟かもしれませんね。

〜過去の栄光を求めて〜
遙か昔…PC98DOS末期。多くのゲームはMIDIに対応していました。英雄伝説IVもその一つでした。 高価なMIDI音源オーナーはしょぼいPC-9801-26,PC-9801-86音源相当の音を聞いては優越感に浸ったものでした。なお私は今も昔も大好きです。時は流れWindows3.1を通り越し、95,98の時代。 CD/WAVEが当たり前になりMIDI対応のゲームはほとんど目にしなくなりました。ゲームというジャンルでは減りつつもDTMというジャンルでは必ずしもそうではありませんが。そんなご時世、ファルコム製のゲームは未だにMIDIに対応し続けています。イースエターナルの時もそうでしたが、好みもありますが総じてMIDIの方が標準の WAVE/CD-DAより“曲”自体が良いように感じられます。私がプレイしたのがDVD版ではなくCD−ROM版だったのでファイルサイズの制限もあるでしょうが、同じ曲でもWAVEが2,3分なのに対してMIDIだと実は7分くらいあったりします。しかもアレンジが効いていますからね〜。ZUNTATAのアレンジはオリジナルがなんだかわからない、というパターンが多くを占めていますが、FALCOMのサウンドチーム“jbk”のアレンジはオリジナルに則っていますので分かり易く、オリジナルと比べたときの変化を楽しむことができます。まぁオリジナルあってのアレンジですけどね。それでも私はアレンジであるMIDIの方を高く評価します。なお、WAVEでプレイしていた知人にMIDIを聞かせたところ、MIDIを買ってはじめからプレイする、とまで言い出しました。余談ですが、その知人は店に注文したところまでは良いのですが、いつまで経っても入荷せず、しびれをきらして何故かDOS版のプレイを始めました。

バランス
IIIがストーリーに重点を置いて戦闘がイベント的だったのに対して、Windows版のIVはそのあたりのバランスは良いと言えるでしょう。しかし、DOS版のIVはオープンシナリオシステムのおかげで非常に自由度の高いものでしたが、それを犠牲にしたためなのか、ストーリーに重点を置いているせいなのか、自由度は多くのコンピュータロールプレイングゲームより低いでしょう。それでもIIIが良い意味での旅ゲー(悪い意味での旅ゲーはセンチメンタルグラフティーが代表作)でしたが、IVもそれにはおよばずとも十分に“旅”を楽しむことができるでしょう。
…旅の定義って何でしょうね?DOS版はWindows版以上に国中を行ったり来たりするのですがあまり旅をしている、という感情移入はありませんでした。私なりの解釈ですが、旅=出会いと別れ、ではないでしょうか。 DOS版で旅をしている気にならないのは仲間が基本的に雇用するという形だからでしょうか。所詮、開発者の手の上を右往左往しているだけ、って感じでした。対してWindows版は広大な世界の、ただの一地方ですが、遙かなる世界の広がりというものを感じさせてくれました。

いつもの事ながらまとまりがありませんが、確かなことはこのWindows版 英雄伝説IV 朱紅い雫は私の“ベストRPG”の5本の指にこそは入りませんでしたが、10本の指には入るでしょう。設定に惹かれたのも大きいですね(笑)。


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